時代屋プロ 其の11  武ちゃんの「不如帰」

徳富蘆花作・新派大悲劇
不如帰(ほととぎす)

不 如 帰(ほととぎす)

解説: 明治の文豪・徳富蘆花によって、1898年(明治31年)から翌年にかけて「国民新聞」に連載された名作です。男爵家の海軍少尉・川島武男と、子爵の陸軍中将・片岡毅(たけし)の娘・浪子との幸福な新婚生活から、浪子の肺結核が発病して舅(しゅうと)の独断により離縁され、浪子が「二度と女に生まれない」と言って死ぬまでの物語です。
大山巌(いわお)大将の娘に起こった実話をもとにしたもので、因襲的家族関係に抗議するこの裏話は当時、広い共感を呼び起こしました。明治の家庭小説の代表的なものであり、のちに劇化されて新派劇の古典になっておるのは、皆さまご存知の通りであります。

小説のあらすじ: 幼いころに実の母を亡くした浪子は、まま母に冷たく扱われながらも心やさしく美しい女性に成長します。海軍少尉である川島武男と結婚し、幸せな日々を過ごしています。しかし、浪子は不治の病といわれた結核にかかってしまいます。浪子の病気がうつることを恐れた武男の母により、武男が留守の間(戦地に召集)に離婚を言い渡され、浪子は実家に帰されます。武男は母の勝手な行動におどろき怒りますが、そのうちに浪子の病状は悪化し、武男に再会することを望みながら、命をおとしてしまうのです。

『さ〜!寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、聞くも涙、語るも涙、皆さんご存知の新派大悲劇、ホトトギスの特別公開はこちらですよ!さ〜ア、さ〜ア、ハンカチ片手にお早くいらっしゃい。 先ずはホトトギスのはじまりはじまり〜!』・・・・・と、棒で卓上を叩きながら、覗きからくり調の口上にのって始まります。


                                                            

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